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福島地方裁判所 昭和42年(わ)115号 判決 1967年10月18日

本店所在地

福島県会津若松市追手町五番六号

名称

会洲商事株式会社

代表者住所

福島県会津若松市川原町一番一六号

代表者氏名

安部勝美

本籍

福島県会津若松市川原町二〇三番地

住居

福島県会津若松市川原町一番一六号

職業

会洲商事株式会社代表取締役

氏名

安部勝美

生年月日

明治三八年一二月二一日

右両名に対する法人税法違反被告事件について当裁判所は次のとおり判決する。

検察官長 山頼興 公判出席

主文

被告人会洲商事株式会社を罰金一六〇万円に、同安部勝美を懲役五月に処する。

ただし、被告人安部勝美に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人会社は、福島県会津若松市追手町五番六号に本店を設け、貸金業等を目的とする資本金一五〇万円の株式会社であり、被告人安部勝美は、被告人会社の代表取締役としてその業務の全般を統轄しているものであるが、被告人安部勝美は、被告人会社の業務に関し法人税を免れる目的をもつて、貸付金利息、預金利息および債権取立手数料等の収入の除外を行ない、または、役員給与、支払利息を公表帳簿に架空計上するなどの不正な方法により、その所得の一部を秘匿したうえ

第一  被告人会社の昭和三八年四月一日から昭和三九年三月三一日までの事業年度における実際の所得金は一、〇一五万三、二九九円で、これに対する法人税額は三七五万八、二一〇円であるのにかかわらず、昭和三九年五月三〇日所轄会津若松税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は五万七、〇七四円の欠損で、法人税額は零である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて当該事業年度の法人税額三七五万八、二一〇円をほ脱し

第二  被告人会社の昭和三九年四月一日から昭和四〇年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額は一、二三一万四、六四七円で、これに対する法人税額は四五二万九、五四〇円であるのにかかわらず、昭和四〇年五月三一日所轄会津若松税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は二九万七、五七八円の欠損で、法人税額は零である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて当該事業年度の法人税額四五二万九、五四〇円をほ脱し

第三  被告人会社の昭和四〇年四月一日から昭和四一年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額は四二三万六、五二一円で、これに対する法人税額は一三八万七、五〇〇円であるのにかかわらず、昭和四一年五月三一日所轄税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は二六万七、四一一円の欠損で、法人税額は零である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて当該事業年度の法人税額一三八万七、五〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人安部勝美の当公判廷における供述

一、被告人安部勝美の検察官に対する供述調書二通および大蔵事務官に対する質問てん末書六八通

一、吉岡虎雄の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する質問てん末書各一通

一、今村東作の検察官に対する供述調書一通および大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、高橋喜代寿、丸小二郎、木村富代、小日山政義、高松広志、五十嵐宇七、森田京治こと、鄭振宣、坂井フク子、須藤鉄男、石山咲子、山田ミキ、土井まき子、松本嘉正(二通)、羽賀重治、五十嵐キクエ、吉川孝光、本田トシヲ、佐藤亀孝、相原保夫、伊藤はるよ、長谷川清高、小沢喜久雄、佐藤直行、多田あや子(二通)、高橋保二、角田博、加藤喜代、川崎ノブ、渡部庄平、船木文子、鈴木清美、遠藤光雄、森義雄、大塚敏、渡部和子、箕輪勝一、川口ヨシ、山口又一、中野景市、渡部辰男、平野治右エ門、東瀬美代、本井寿、星源助、中村淳一郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、佐原友十郎、五十嵐丑之助、桜岡正男、黒田長蔵、阿部スミ、笠原与一、奥脇まさ子、更科治、下田平一、上野善治、佐野芳子、鈴木慶治、山口喜代治(二通)、雲野満与、酒井壮、松崎喜一郎、林二郎、高瀬清八、大須賀英一、平野治右エ門、渋川将晴、角田博、五十嵐一夫、小池武光、斎藤英二、星清五郎、鈴子市次、大塚敏(二通)、佐藤富子、大竹重秋、菊地実(二通)、波多野吉郎、篠谷重次郎、小林芳彦、吉岡仁作、渡辺千代子、加藤木平、江川孫市、沢半次郎、波多野義雄、正木善八、五十嵐慧、神林義美、鈴木亀八、星清次、吉川芳次、塚原義久、山口義信(森信雄と連名)作成の各上申書

一、高松広志作成の「報告書」と題する書面

一、大蔵事務官斎藤巽作成の「根柢当権設定状況調」、「強制執行等状況調」(他一名と共同作成)、「簿外貸付金および簿外貸付金利息等計算書」、「債権取立手数料等収入の計算書」、「銀行調査書」(六通)、「簿外預金残高および簿外預金利息明細表」、「減価償却費の計算書」、「修正申告書謄本」(二通)、「課税標準および税額計算書」、「脱税額計算書」(三通)と題する各書面

一、登記官作成の会社登記簿謄本

一、押収してある法人税確定申告書三冊(昭和四二年押第五二号の一ないし三)、決算書議事録等綴一綴(同号の四)総勘定元帳三冊(同号の六ないし八)

(法令の適用)

被告人安部勝美の判示第一および第二の各所為は、いずれも法人税法(昭和四〇年法律第三四号)附則第一九条、右法律による改正前の法人税法第四八条第一項(第一八条第一項)に、同第三の所為は、法人税法第一五九条第一項(第七四条第一項第二号)に各該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で右被告人を懲役五月に処し、情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予し、被告人会洲商事株式会社の判示第一および第二の各事実は、いずれも法人税法(昭和四〇年法律第三四号)附則第一九条、右法律による改正前の法人税法第五一条第一項、第四八条第一項(第一八条第一項)に、同第三の事実は、法人税法第一六四条第一項、(第一五九条第一項(第七四条第一項第二号)に各該当するが、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で右被告人会社を罰金一六〇万円に処する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 金末和雄 裁判官 野口喜蔵 裁判官 堺和之)

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